あ行

アミノ酸

いわゆる「旨味」をみる目安になります。値が小さいと薄く、大きいと味の濃い酒になると考えていいでしょう。 ただし、大きればいいというわけではなく、大きすぎるとかえって雑な味になってしまします。

あらばしり

もろみをしぼり始めて、最初に出てくる酒です。香が強く、荒々しいなかにもフレッシュな飲み口が特徴です。 「しぼりたて」ともいわれます。

アルコール度

清酒の一般的なアルコール度は15~16%。アルコールそのものは甘い辛いを識別するのではないので、通常は味に影響されることはありません。 ただ、他の成分が同じでアルコール度だけが高いと、そちらのほうが、辛く感じる傾向はあります。しぼりたての原酒は20%近くと高めのものが多くなっています。

雄町(おまち)

安政6年(1859年)岡山県上道郡高島村雄町(現岡山市雄町)在住の篤農家『岸本甚造』氏が選抜改良した酒米。 明治41年に奨励品種に指定され、大正6年には9千ha越える作付け規模に達するが、食料不足の環境下で昭和50年代までは幻の酒米と言われるほど減少。 昭和63年から生産団地育成事業が認められ復活しました。

か行

寒造り(かんづくり)

年間のもっとも寒い季節、寒の入りから立春までの間に造られた酒のこと。 気温が低いほど、造りには好条件のため、昔から最良の酒ができるといわれています。

生一本 (きいっぽん)

その蔵で出来た酒のみを使った自醸酒で、しかも純米のものに限り、この表記が許されています。

生もと(きもと)

酒のもととなる酒母を造る際に、精製した乳酸菌を加えずに厳密な温度管理によって、自然の乳酸菌の力を借りて酵母を育てていく方法。 酸味のある味わいを持った酒ができあがります。

生もと仕込み・山廃仕込み (きもとじこみ・やまはいじこみ )

酵母菌を培養する過程で、そのままでは自然界に無数に存在する雑菌に侵されてしまうところを、乳酸の力で駆逐します。 天然の乳酸菌を取りこむのが従来のやり方でしたが、それでは時間がかかるため、人工的に乳酸を添加する方法を取るのが現在では一般的です。 それを昔ながらのやり方に従って行うのを、「生もと仕込み」・「山廃仕込み」といいます。

吟醸・大吟醸(ぎんじょう・だいぎんじょう)

米の精米度を示す表現です。米を磨いて外側を削り取り、芯に近い部分だけ残すと、それを原料にした 日本酒には独特の香りと味が備わります。米の胚芽や表層部にはタンパク質、脂肪、灰分、ビタミンなどが 多く含まれ、それらが多すぎると日本酒の香りや味が落ちてしまいます。「吟醸」は精米歩合60%以下、 「大吟醸」は50%以下、つまりそれぞれ米の4割以上、5割以上を取り除いてつかっています。 果実のようなかぐわしい香り、口当たりのいいなめらかな味は、日本酒の“芸術品”的存在です。なお 「吟醸」と「純米」とは別次元の表現ですので、吟醸酒だからといって純米酒であるとは限りません。

吟醸造り(ぎんじょうづくり)

特別に吟味して醸造することをいい、伝統的には、よりよく精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、 特有な芳香「吟醸香」を有するように醸造することをいいます。吟醸酒は吟醸造り専用の優良酵母、 原料米の処理、発酵の管理から瓶詰め・出荷に至るまでの高度に完成された吟醸造り技術の開発
・普及により商品化が可能になりました。

吟醸酒

本醸造酒・純米酒のうち、吟醸造りとよばれる低温発酵をおこなったもので、フルーティな“吟醸香”が特徴。 精米歩合は60%以下に定められています。

原酒(げんしゅ)

もろみをしぼってから醸造用アルコールなどを添加したり、ブレンドしたり、水で割ったりしていない日本酒 のこと。その分一般的にアルコール度数が高くなります。ただし、しぼる以前に醸造用アルコールなどを混ぜても「原酒」の表示は可能です。

麹(こうじ)・米麹(こめこうじ)

米のでんぷん質を糖化して、アルコール発酵に必要な糖分を造りだす役割を果たす。「一麹・二モト・三造り」 といわれるほど、酒の良否が決まる上で重要な要素のひとつです。

古酒(こしゅ)

醸造期に入って新酒が造られると、前年の新酒は古酒となります。新米と古米の関係のようなもの。ただし、 一般的な「古酒」とはある程度長期間の貯蔵を経たものをいいます。ワインのように熟成させることによって、 香りが落ち着き、まろやかで豊かな風味が増してきます。生酒の新鮮さを好む人があれば、古酒ならではのこの熟成を好む人もあるでしょう。

さ行

三段仕込み(さんだんじこみ)

醪を仕込む際、蒸し米と麹、水を三回に分けて酵母に加える製法。醪の酸や酵母の活性が弱くなるのを防ぎます。

酸度(さんど)

味の濃淡をみる目安としてつかわれます。一般的な値は1.0~1.8くらい。これよりも高いと、かなり強い 酸味を感じるようになります。おおまかにいうと、1.5を境にして、下が淡麗型、上が濃醇型といったところです

酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)

普通の食べられる米より中心の芯白(白い部分)が大きい、酒造りのために特別に作られた米。品種として 「山田錦」「五百万石」「渡舟」「雄町」「若水」などがあります。

酒母(もと)/しゅぼ(もと)

冷ました蒸し米に米麹と水を加えて、酵母を増殖させる土台とするもの。文字どおり酒のもととなるもので、 これをベースに、さらに米、麹、水を加え仕込みに入ります。

純米(じゅんまい)

米・米麹・水のみで造られるお酒です。純米酒は米のもつ旨味が生かされ、濃醇でコクのある味に なります。ただし、蔵の造りや飲む人の好みによって、そのコクが強すぎて重く感じるものもあります。そうなると、 醸造用アルコールによって生まれるスッキリした味わいを好ましく思う場合もあります。

神力(しんりき)

酒造好適米の一つ「五百万石」の先祖である「神力」は、明治初期に兵庫県揖保郡中島町(現)で、 篤農家「丸尾重次郎」氏により発見されました。

精米・精米歩合(せいまい・せいまいぶあい)

冷ました蒸し米に米麹と水を加えて、酵母を増殖させる土台とするもの。文字どおり酒のもととなるもので、 これをベースに、さらに米、麹、水を加え仕込みに入ります。

酒母(もと)/しゅぼ(もと)

米の外側にはタンパク質や脂肪が多く含まれ、雑味の大きな原因となります。 このため、精米歩合(白米の残った割合)の値が低ければ低いほど、米は洗練された味わいを持つようになります。 精米歩合35%では米は65%削られていることになります。

た行

樽酒(たるざけ)

貯蔵する際に樽を使ったもので、木香を楽しむことが出来ます。

手造り(てづくり)

純米・本醸造のうち、麹蓋やこしきなどを使用した、昔ながらの伝統的な方法で醸されたもの。手間のかかる酒造りです。

杜氏(とうじ)

酒造りをおこなう職人たちの長。酒の製造管理者だけでなく、酒造りに関する総合マネージャーとしての 役割をもっています。杜氏集団として、南部、越後、丹波、広島などがよく知られており、それぞれが伝統と 新しい挑戦をもって酒造りに励んでいます。

特定名称酒の分類

特定名称 使用原料 精米歩合 香味などの要件
吟醸 米・米麹・醸造アルコール 60%以下 吟醸造り 固有の香味、色沢が良好
大吟醸 米・米麹・醸造アルコール 50%以下 吟醸造り 固有の香味、色沢が特に良好
純米酒 米・米麹 70%以下 味、色が良好
純米吟醸酒 米・米麹 60%以下 吟醸造り 固有の香味、色沢が良好
純米大吟醸酒 米・米麹 50%以下 吟醸造り 固有の香味、色沢が特に良好
特別純米酒 米・米麹 60%以下または特別な製造方法 香味、色が特に良好
本醸造酒 米・米麹・醸造アルコール 70%以下 香味、色が良好
特別本醸造酒 米・米麹・醸造アルコール 60%以下または特別な製造方法 香味、色が特に良好

特別純米酒(とくべつじゅんまいしゅ)

純米酒のうち、精米歩合を60%以下にまで高めたもの。

特別本醸造酒(とくべつほんじょうぞうしゅ)

本醸造のうち、精米歩合を60%以下にまで高めたもの、または酒造好適米を50%以上使用したもの。 自社の本醸造と比べ、製法に特殊性がなければならない。

斗ビン囲い(とびんがこい)

袋しぼりでしぼった酒の、さらによい部分だけを一斗瓶(18l)でうけ、瓶詰めしたものを斗ビン囲い、または 斗瓶取りといいます。

な行

中汲(なかぐみ)

あらばしりの次にしぼり出てくる酒を中汲み、中だれ、または中どりといいます。 酒としてバランスがよく、安定した味が期待できる部分です。ここだけを瓶詰めしたものに表示され、付加価値の高い酒になっています。 ちなみにしぼりが終わりに近づいた酒を「せめ」といいます。

生(なま)

日本酒造りでは通常二回の火入れ(加熱殺菌処理)がありますが、これを行わないものが生酒。酵母菌が いきているので、フレッシュな味と香りです。一方、菌が生きているということは酒質がどんどん変化して いってしまうことなので、保存管理面に注意する必要があります。

生貯蔵酒(なまちょぞうしゅ)

酵母菌が生きた生のまま貯蔵し、瓶詰め前のみに火入れをおこなったもの。

生詰(なまづめ)

しぼった酒を一回だけ火入れをしたものです。

日本酒度(にほんしゅど)

よく甘口・辛口といわれることがありますが、その甘い辛いをみる目安となるのが日本酒度です。 数値は水の0を基準にした、その日本酒の比重をあらわします。エキス分はおもに糖分ですから、 マイナス値が大きいほど甘口ということになり、プラス値はその逆で辛口。一般的な辛口化の傾向により、 日本酒全体の平均値もプラス方向に進んでいます。マイナス1~プラス3あたりが中間といえます。

日本酒度と酸度とアミノ酸度

これらはそれぞれ独立して影響するものではなく、お互いに関わりあっています。 例えば、日本酒度がマイナスに偏ったタイプであっても、酸度が多いとそれほど甘さを感じなくなります。 また、日本酒の微妙な味と香りは、とうていこれらの数字だけでは表しきれません。あくまでも指標として利用してください。

は行

火入れ(ひいれ)

通常の火入れの場合、酒質の維持のために、貯蔵される前と瓶詰される前の2回おこなわれる加熱殺菌。

ひやおろし

冬から春に造られた新酒を夏が過ぎるまで、貯蔵し、熟成して旨味が増したところで秋口に出荷する生詰 酒です。ほどよいコクと、フレッシュな飲み口の両方が楽しめます。

袋しぼり(ふくろしぼり)

大吟醸などの付加価値の高い酒は、しぼる時に酒袋にもろみをいれて、吊るし、人為的な力を加えずに、 もろみの重さだけで滴らせる方法をします。これを、「袋しぼり」または、「袋吊り」と呼んでいます。

本醸造(ほんじょうぞう)

醸造用アルコールを添加していますが、一般のものよりもその割合を抑えた日本酒です。純米酒に 比べて必ずしも劣悪というわけではなく、スッキリとしたまとまりのある味です。醸造用アルコールによって香り の立ち方がよくなる、といわれることもあります。純米酒が個性的な酒に対して、本醸造は普遍性を追求した酒ともいえます。

ま行

醪(もろみ)

酒母に少しずつ蒸し米、米麹、水を加えて仕込んでいく三段仕込みの最後の発酵段階から、酒粕を漉し取るまでの状態。

や行

山田錦(やまだにしき)

大正12年、兵庫県の農事試験場で『山田穂』を母に『短稈渡舟(たんかんわたりぶね)』を父として交配して 生まれました。当初は両親の名前をとり『山渡50-7』と名付けられていましたが、昭和11年『山田錦』の 名前で兵庫県の奨励品種に指定され最高の酒米として今日に至ります。

山田穂(やまだほ)

明治10年頃、兵庫県多可郡中町の豪農『山田勢三郎』氏が酒米として選抜改良したお米。自分の姓をとり 『山田穂』と名付けました。後に『山田錦』の母となり、時代の中消えかけていた酒米です。

山廃もと(やまはいもと)

生モトをつくる最初の段階で行う“山卸し”という櫂で米をすりつぶす工程を省いた“山卸し廃止モト”のこと。 生モトの一種で、濃厚な味わいをもった酒を造ることが出来ます。“山廃”という表示をした酒は、この酒母を 用いていることになります。

Copyright © 2015 升屋酒店/気まま屋いち All Rights Reserved.